1,環境とは?

@水・土壌・のほかにA空気・経済・社会・生活環境と様々な環境がありますが、ここでは@について解説します。一般的には施設周辺住民より悪臭・排水の濁り・色・植物枯など生活環境に異常がある場合、環境問題の発端となります。

2,環境修復の必要性

地球の表面は2/3が海に覆われ生活および産業活動に使用可能な淡水は僅かに約0.01%と言われています。人が経済活動と生活の営みを行う地球環境が徐々に汚染を続ける中、近年、水環境汚濁物質の蓄積が懸念され汚水が浸みた土壌も同時に汚染進行されています。この現実を阻止すべく即効的環境浄化が世界的規模で急務となっています。20世紀に環境が汚染された現状を踏まえ、私たちの次の世代に安心できる環境を継承し、貴重な水の大切さを提唱し21世紀は二次的環境汚染を起こさない循環型社会を目指す環境浄化技術が求められます。

例えば、霞ヶ浦は閉塞性水域の代表であり、農業用水、水道等多目的に活用されていますが、現在の水域水質基準を見ても判るとおり水質基準設定以来まったく水質改善の兆しが見られません。更に水質強化規制として、「第5次水質総量規制」実施による窒素、燐の厳しい設定基準が設けられ酪農・畜産関連では「家畜糞尿排泄物法」が施工されました。以上の様な背景より水質基準達成は、重要な地域生活・産業活性基盤要素となります。

3,環境汚染物質とは?

    一般的に水・土壌ではph,SS,BOD,COD,窒素,,N-ヘキサン,重金属類,化学物質,有害ガス,塩素化合物質(ダイオキシン・PCB)・環境ホルモン・VOC等を環境汚濁物質という。これらの含有率が水質汚濁法・土壌汚染対策法などが規定する数値を超えたものを環境汚染として環境浄化(環境修復)が必要です。

4,環境浄化技術

@       生物化学的処理(活性汚泥法)

  特徴:好気性微生物に曝気により酸素を大量に与え汚水の有機物を微生物に食べてもらい硝化菌により窒素化合物の硝化が行われる方法と酸素をまったく与えない嫌気性微生物による脱窒菌による還元が行われて窒素となり大気中に放出除去される方法があります。

  利点:幅広く一般的に利用されBOD・窒素・SSの除去に効果を示す。軽微な浄化に特に有効。

  欠点:処理設備に広大な面積・長時間処理を必要とし曝気に大きな電気エネルギーが必要、COD・色素の分解・低温度(四季)変化に対応することが難しい。  

A       加圧浮上分離処理(薬品注入法)

特徴:凝集剤・高分子剤などの薬品添加により強制的に浮上・沈殿汚泥分離を行う。単独又は、生物化学的処理で浄化処理能力不足の場合に高度処理として一般的に工場排水処理に活用されている。

利点:処理装置の設置面積が少なく短時間処理が可能で全般的項目に水質浄化効果が期待できる。

欠点:汚泥発生量が増え産業廃棄物処理と薬害による二次的環境汚染が懸念される。

B       熱処理(焼却・蒸発・炭化処理法)

特徴:化石燃料または、自己発生メタンガスを利用し強制的に加熱処理をおこなう。

利点:汚泥と水分の分離は確実に行われ炭化処理を行った固形物は多孔質で生物処理助剤に活用が可能。

欠点:京都議定書によるCO2削減対応に問題があり蒸発した水に含まれるCOD成分は分解されない。

C       酸化処理(A,電気分解法・B,オゾンガス法・C,酸化チタン法)

A,電気分解法

 特徴:従来は電気分解による排水処理は殆ど実例がなかったが、最近になり高度な浄化技術が開発され徐々に市場に導入される。ここでは高度技術に関した解説を行う。

 利点:設備設置面積が小さく省エネルギーで広範囲の環境汚濁物質項目に対して完成度の高い浄化が可能。従来は不可能であったVOC・塩素化合物・COD・アンモニアの分解、燐・N-ヘキサン・SSの分離のほか脱色も可能とし、無人化による完全自動運転が可能である。

 欠点:工場排水の場合、短時間に大量(500t/D以上)に浄化を行う現場には設備コスト面では不利である。

B,オゾンガス法

 特徴:最近、徐々に市場に導入される。

 利点:設備設置面積が小さく広範囲の環境汚濁物質項目に対して完成度の高い浄化が可能。従来は不可能であった軽度な塩素化合物・COD・アンモニアの分解、脱色も可能とし、特に気相浄化処理には有効で無人化による自動運転が可能である。

 欠点:オゾンガスの水中滞留接触時間が短く水中浄化には不向きで工場排水の場合、短時間に大量(1t/D以上)に浄化を行う現場には設備コスト・ランニングコストでは不利である。

C,酸化チタン法

 特徴:気相で酸化チタンコーティング面に接触した環境汚濁物質が紫外線と反応することにより無害化浄化できる。タイル表面加工・塗装と混ぜ外壁に塗布されるなどの使用用途がある。

 利点:太陽の紫外線又は、人口紫外線ランプの照射で反応し殆どエネルギーを必要とせず環境汚濁物質を完成度の高い浄化することが可能。従来は不可能であった窒素化合物・塩素化合物・COD・アンモニアの分解。

 欠点:紫外線を必要とし気相でも処理時間がかかり液相には不向き。

 

D       封じ込め・特別隔離施設保管処理

特徴:難分解物質をガラス等に封じ込め一切溶出しない構造体とする等隔離施設の完全監視管理の基、PCBは蓄積保管されている代表例である。

    利点:特になし

    欠点:環境汚染物質浄化に対する解決がない。

 

                               (五十嵐武士)